3つの悪材料で貴金属は大幅安
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- 2013.04.11
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ネガティブ材料が3つ続き、貴金属は大幅安となっています。
1つ目はキプロスの金売却案。資金調達の目的で余剰金準備を売却し、4億ユーロを調達するという計画案があるとのこと。EUでは財政補填の為の金売却は本来禁止されている事項であり、金売却という例外的措置が実施されるのか注目されています。そして、預金課税の時と同じく、ユーロ圏各国に対する影響も懸念されるところ。キプロスの金が売却されれば、イタリア・スペインなどの保有金に対する動向も気にかかります。金価格に対する影響は大きいですね。
2つ目はゴールドマンサックスによる金相場見通しの引き下げ。米景気回復の勢いが増し、金相場サイクルの転換が加速しているため、3カ月の見通しを1615ドルから1530ドル、半年間は1600ドルから1490ドル、1年間では1550ドルから1390ドルとそれぞれ大幅下方修正。ファンドの見通しは場当たり的なものが多いのですが、ただでさえ警戒論が増えている金相場にとってショッキングな数字です。
3つ目はFOMC議事録。昨日公開された3月FOMC議事録によると、メンバー数人が年内に量的緩和縮小を開始し、年末までに停止するのが適切であると考えていることが明らかになりました。前回のFOMCより量的緩和縮小派が優勢になっており、出口戦略がメインの主題になりつつあるのは貴金属にとって大きなマイナス材料です。
但し、このFOMCは先日の米雇用統計前に行われたものであり、非農業部門就業者数10万人割れというネガティブサプライズは含まれていません。次回のFOMCがより注目されるところです。
悪材料が重なったことで貴金属は値崩れ。金は約30ドル下落し、再び1550ドルの抵抗線を試される事態となっています。
NY株は史上最高値を更新し続けており、なかなか不安材料の多い貴金属を買いにでれない状況です。ファンドの売り攻勢と現物派の買い支えの対立でしばらくもみ合いそうです。