大きく毀損された中央銀行の信用
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- 2015.01.19
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週末もスイスショックが続いた市場。
貴金属は上抜け。金は1280ドルを越えてプラチナと価格逆転。動きの鈍かった銀もやっと反応し、一時18ドルまで急伸。通貨的側面がある金・銀の急騰が今の混乱を物語っています。
スイス国立銀行の対ユーロ上限撤廃の裏側が見えてきました。
1週間前までは上限を死守するとしていたものからの手のひら返し。22日のECB理事会でのQE導入と、週末のギリシャ総選挙で反緊縮派勝利というシナリオが濃厚となった事でSNBは決断に踏み切りました。スイス国立銀行(SNB)としてはサプライズをあえて演出したとの事。併せて利下げも発表しましたがほとんど話題にならず、上限撤廃による反響が予想以上であったことに本人たちが一番驚いていることでしょう。
今回の件で最も問題なのはSNBが抜け駆けをしたという事です。
通常なら重要な金融政策を発表する前に根回しを行うもの。今回の動きについてデガルドIMF専務理事が「事前連絡がなかったのは驚き」と苦言を呈しています。
また、各中銀とのつながりだけでなく、昨今は市場との対話を中央銀行は大切にしてきました。重要な動きの前にはフォワードガイダンスを設定し、市場への丁寧な説明がスタンダードとなってきていた中でのSNBの暴挙。
これでは市場の安定化など計れるわけもなく、疑心暗鬼を生みだすだけです。
安全通貨として評価されていたものが、一夜にして30%動くようになれば存在意義自体が変化します。そして、これがスイスフランだけの出来事であると誰が保証できるでしょうか?市場における各国中銀の信用も大きく毀損されました。
通貨から資金は逃避し、普遍的な価値観を持つ貴金属が買われることになるのは当然です。